In Accordance Withの意味と使い方|契約書例文や類語の違いを解説
国際取引の契約書や外資系企業とのビジネスメールで日常的に目にする「in accordance with」。直訳すると「〜に従って」「〜に準拠して」と理解されますが、実務のドラフティングや法律英語の翻訳現場において、その法的射程や厳密な使い分けを正確に把握できている実務家は決して多くありません。
学校英語で馴染み深い「according to」や、コンプライアンス分野で頻出する「in compliance with」と混同したまま英文契約書を作成・読解すると、条項の拘束力や義務の所在に重大な誤認が生じるリスクがあります。グローバル法務・ビジネス実務で必須となる「in accordance with」の正確な意味、類語との違い、現場でそのまま使える実践例文を詳細に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「in accordance with」は規約・契約・方針・仕様など「客観的な基準・合意事項に沿う」状態を示す最も標準的でフォーマルな表現。
- 要点2:「according to」は「情報源・発言」の引用に用いられ、「in compliance with」は法規制への「完全な適合・義務遵守」を強調する点で法的ニュアンスが明確に異なる。
- 要点3:英文契約書の実務では「in accordance with the terms and conditions」「in accordance with applicable law」などの定型句を正確に配置し、曖昧さを排除することが紛争予防の鉄則となる。
【意味と基本】in accordance withの正しい和訳とビジネス英語でのニュアンス
英語の前置詞句「in accordance with」は、名詞のaccordance(一致、調和、準拠)を中核に持ち、全体として「〜に従って」「〜に準拠して」「〜と一致して」という和訳が当てられます。ビジネス英語および法律英語においては、特定の基準、規定、契約条件、合意事項、手続き、指示などに矛盾せず、それに沿って行動することを指す基幹表現です。
日常会話で多用される「follow」や「obey」のような主観的・感情的なニュアンスを含まず、客観的な取り決めやフレームワークに対する論理的・構造的な合致を示すのが特徴です。たとえば、仕様書通りの納品、社内規定に基づく経費精算、法的手続きに則った取締役会の招集など、「正式なルールや合意が存在し、それに寸分違わず適合させている状態」を記述する際に最も適した語彙となります。

【徹底比較】according toやin compliance withとの決定的な違い
ビジネスパーソンや法務翻訳者が最も躓きやすいポイントが、類似表現との境界線です。特に「according to」や「in compliance with」との違いを感覚的に処理してしまうと、契約書の解釈や実務コミュニケーションで重大な齟齬を生みます。
最大の違いは、「対象とする対象物の性質」と「帯びる法的拘束力のトーン」にあります。それぞれの立ち位置を整理した以下の比較データから、その差異が明確に読み取れます。
| 表現 | 中核となる対象物 | 法的拘束力・フォーマル度 | 実務における推奨領域 |
|---|---|---|---|
| in accordance with | 契約条項、規則、仕様、合意事項 | 極めて高い(公式・契約文書の標準) | 契約書の履行義務、業務手順、基準準拠 |
| according to | 人物の発言、報道、統計、調査結果 | 中立(口語・レポート・報道向け) | 情報源の明示(契約義務の記述には原則不適) |
| in compliance with | 法令、規制、監督官庁の指導、監査基準 | 極めて高い(違反時の罰則・制裁を意識) | 法規制対応、コンプライアンス条項、監査報告 |
| pursuant to | 法律条文、契約書第〇条、裁判所命令 | 最高位(純粋な法律専門用語・リガチャ) | 契約条文間の相互参照、法的権限の根拠明示 |
実務上の分岐点として、「According to the contract」と書いてしまうと、「契約書によれば(そう書いてあるらしい)」という単なる情報参照のニュアンスが漂い、当事者に履行義務を課す表現としては著しく脆弱になります。契約当事者に作為・不作為の義務を負わせる場合は、必ず「in accordance with the Agreement」または「pursuant to the Agreement」を採用しなければなりません。
【契約書・実務例文】in accordance with lawなど現場で即役立つ頻出パターン
英文契約書の作成およびレビューにおいて、「in accordance with」は決まり文句として特定の語句と強固に結びついています。実務で頻出する3大定型パターンと、そのまま現場で活用できる例文を整理します。
1. 準拠法・法令遵守を示すパターン(in accordance with law / applicable laws)
各国の法律、適用法、行政命令に沿って取引を執行することを誓約する最重要条項です。
例文:
"The Seller shall handle, store, and transport all hazardous materials in accordance with applicable laws and environmental regulations."
(売主は、適用される法令および環境規制に従って、すべての危険物を取扱い、保管し、輸送するものとする。)
2. 契約条項・仕様書への合致を示すパターン(in accordance with Section X / specifications)
納入物の品質基準やマイルストーンの達成基準を定義する際に用いられます。
例文:
"The Service Provider shall deliver the software deliverables in accordance with the specifications set forth in Exhibit A."
(サービス提供者は、別紙Aに定める仕様書に準拠して、ソフトウェア成果物を納品するものとする。)
3. 支払い・通知手続きの適正化を示すパターン(in accordance with the provisions)
紛争を未然に防ぐため、手続きの正確な履行順序を担保する場面です。
例文:
"All payments shall be made in U.S. Dollars in accordance with the payment schedule stipulated in Article 5."
(すべての支払いは、第5条に規定された支払スケジュールに従い、米ドルで行われなければならない。)

【実態検証】法務・翻訳現場のプロが直面する誤用トラブルと生の声
国際法務部門や翻訳の最前線を取材すると、「in accordance with」の誤用や過剰使用によるトラブル事例が数多く報告されています。
大手総合商社の法務担当者は次のように証言します。
「海外企業との合弁契約(JV契約)のドラフト審査において、相手方から提示されたドラフトに『in compliance with the attached guidelines』と記載されていた箇所がありました。これをあえて『in accordance with the attached guidelines』へ修正交渉しました。complianceを用いると、相手方のガイドライン変更に我が社が無条件で100%従属しなければならない法定義務のような強い拘束力が生じるため、合意した基準に沿うという対等なニュアンスのaccordanceへ戻す必要があったのです」
また、法律英語の翻訳専門家コミュニティからも「1文の中にin accordance withが3回以上連続して現れる『Plain English(平易な英語)運動』に反する悪文」に対する指摘が寄せられています。前置詞句が積み重なることで主語と動詞の距離が離れ、誰が何を履行すべきかが曖昧になるリスクが現場で問題視されています。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
Web上の英語解説サイトや自動翻訳ツールの出力には、実務上危険な誤解が散見されます。特に注意すべき2大トラップを検証します。
第1の誤解は、「in accordance withはshallと常にセットでなければならない」という思い込みです。「Party A shall act in accordance with...」という構文は一般的ですが、事実関係の確認条項(Representations and Warranties:表明保証条項)や定義条項では、現在形動詞や形容詞句として単独で使用されるケースが多々あります(例:"Services performed in accordance with industry standards"=業界標準に準拠して提供されたサービス)。
第2の誤解は、「in accordance withとaccording toは置き換え可能」とする単純化です。「According to the terms...」と記述された海外からの提案書をそのまま承認した結果、裁判時に「その文言は単なる参考情報の提示であり、契約上の厳格な条件(Covenant)として合意されたものではない」と相手方に抗弁される余地を与えてしまった実例が存在します。法的文書において「according to」への安易な言い換えは絶対に避けるべきです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
「in accordance with」の採否は、文書の性質と作成目的によって明確に選別する必要があります。
【積極的に採用すべきケース】
- 英文契約書(NDA、売買契約、ライセンス契約など)の履行基準を明記する場合
- ISO規格、社内標準規程(SOP)、業界標準への準拠を公式文書で表明する場合
- 裁判資料、特許明細書、公式な弁護士意見書(Legal Opinion)を起草する場合
【使用を慎重にすべき・他の表現を検討すべきケース】
- SlackやTeamsなど、即時性と簡潔さが求められる日常の社内チャット(堅苦しすぎて円滑なコミュニケーションを阻害するため、「following」や「as per」が適切)
- ニュースレターや広報用リリースで、外部データの出典を明記する場合(「According to the survey」を用いるのが自然)
- 法令違反による行政処分やペナルティの文脈を明示する場合(より強制力の強い「in compliance with」が適切)

【in accordance with】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:英文契約書で「in accordance with」と「pursuant to」はどう使い分けるべきですか?
A1:実質的な法的効力はほぼ同等ですが、慣習的なコロケーション(言葉の結びつき)が存在します。「pursuant to」は契約書の条文番号や法令の特定条項(pursuant to Section 3.1 / pursuant to Article 10)を指す際に好まれ、「in accordance with」は仕様書、計画、基準、一般的な法律(in accordance with the specifications / in accordance with applicable law)を指す際に多く用いられます。
Q2:ビジネスメールで「in accordance with」を使うと堅すぎる印象を与えますか?
A2:同僚間のカジュアルなやり取りではやや重厚な響きを与えますが、クライアントへの公式な見積書送付、納期連絡、請求手続きの案内など、手続きの正当性を担保したいフォーマルなビジネスメールでは極めて適切な表現です。より簡潔にしたい場合は「as agreed(合意の通り)」や「per our discussion(お打ち合わせの通り)」に言い換えることも可能です。
Q3:「in accordance to」という前置詞の組み合わせは文法的に正しいですか?
A3:明確な文法上の誤りです。名詞accordanceに続く前置詞は「with」のみが正解です。「according to」との混同によって「in accordance to」と誤記されるケースが多いため、校正・ドラフト作成時には厳重なチェックが必要です。
まとめ:実務英語の精度を高めてグローバル契約を有利に進めるポイント
「in accordance with」は、単なる「〜に従って」という対訳を超え、ビジネスや法務における権利・義務の関係性を正確に規定するための不可欠なツールです。客観的な合意・基準に焦点を当てる本表現の特質を理解することで、「according to」の情報源提示や「in compliance with」の法規準拠との境界線が鮮明になります。
契約ドラフティングや実務翻訳においては、文脈に応じた最適な表現を選択し、曖昧さを完全に排除した文章構成を意識することが、国際取引におけるリスクマネジメントの第一歩となります。本稿で解説した構文パターンと使い分け基準を、日々の実務文書作成に役立ててください。 (出典: in accordance with(Yahoo!ニュース))